ゲーム系短文ログ
※日記からの再録です。タイトルにオンマウスでジャンル表示。
少年Aが殴る蹴るの暴行を、
少年Aが殴る蹴るの暴行を、
デビサバ/主人公と仲間たち(主ナオ気味)/09.2.8
あまりにも会えないので限界まで苛ついた。普段であればパソコンデスクから半径二メートル以上の移動はすべて億劫がるくせに、東京封鎖というこの異常な状況下において何を突如アグレッシブに動き回ってやがるんだあのインドア野郎。
やっと会えたら会えたで、限界超えて苛ついた。そもそも運動不足極まれりのあの電脳オタクが、ありがたくも毎週体育の授業に駆り出されてそこそこハードな運動を強要されている現役高校生の足から、歩いて逃れられるはずがないのだ(何しろこっちは全力疾走で追いかけている!)。なのになんですか、毎度毎度言いたいことだけ言って即とんずらのあの首尾のよさ、逃げ足の速さは? 悪魔の妨害なんてなくても追いつけたもんじゃない、マッハですよマッハ!
「そうか、やつの固有スキルか。S絶一門・追跡とかS逃走の秘法とか追っ手無効とかだな」
「や、別にナオヤさんとは戦闘してねーし」
横転した乗用車の砕けたフロントガラスが散らばっていよいよ荒んだ様相の路上を行きながら、片手にCOMPを握りしめてぶつぶつ言っていると、隣を歩く親友が律儀にツッコミを入れてくれた。やや離れてついてくる女子ズと圭介のほうからは、「だってずうーっとぶつぶつ言ってるしおかしいよ! お医者さ」「「ミドリちゃん、しーっ!」」とかなんとか心優しい会話が聞こえてくる。
「くそ、直哉」
会いたくて会いたくて仕方ない。封鎖の穴より、サーバーより、あのキツネ顔を見つけ出したい。
「直哉直哉直哉なおや」
「えーとあのさ、いまさらだけどさ、次ナオヤさん見つけたらオマエどうすんの?」
「顔面にCOMP叩きつけて鼻血噴か」
「わああ頼むから穏便に! いまのオマエの力でやったら師匠が死ぬ!」
ええそうですよ、ころしたいんですよ! にっこり笑ってやったら、篤郎は本気で泣きそうな顔をして「ソデコ、あいつにアムリタ! 早く!」、柚子たちのほうへ走っていった。
ステータス異常なんて起こしていないのにと思いながら、そっとCOMPを撫でる。お守りであり、戦う力であり、唯一の直哉とのつながりだ。真の血のつながりがあるのにこんなものでしかつながっていないような気分になることが、そういう世界に放り出しやがったことが、何より許せなかった。
早く会いたい。
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